大人気なユーチューバーMrBeastが新バーガーチェーンを開いて、そこからのビジネス人が気づくべきな教訓が浮き彫りにされている
ユーチューバーのミスタービーストはアメリカ全土でハンバーガーチェーン店を開店した。
ドライブスルーの列は何キロにもわたり、彼のアプリは宣伝していないにも関わらずApp Storeで1位を獲得した。
このことが際立たせているのは、事業がどのように始まり、どのように他の企業と競争するかという点における変化である。
世界で最も有名なユーチューバーの1人が、アメリカでハンバーガーチェーン店を開店するのに成功した。大半の人にとってそれほど評価するようなことでないことはわかっているが、それでもこの事実は小売や商業の場で起こりつつあるきわめて重要な変化を浮き彫りにしている。
説明しよう。
ほとんどの企業は事業を始めるにあたって、ファンを作り出して顧客を獲得しようとする。たいていは、既知の人々のネットワークから始め、広告、記事、口コミを通じて成長していく。
より最近では、初期のD2C(direct-to-consumer / "消費者に対して製品を直接的に販売する"というビジネスモデル)ビジネスは、最新のSNSマーケティング戦略や、SNS広告の高い費用効率を利用することで、大規模そのようにできた。
従来のアプローチではまず事業を生み出し、それから客層を築く。
だが、以前にブログで述べたように、「commerce(商業)」と「communication(コミュニケーション)」はますます一体化しつつある。
どういうことか。
ビジネスにおいては伝統的に、一方には「commerce」的側面(例えば、店舗、飲食店、オンラインストア等)があり、他方には、認知を高めて顧客を獲得するための、「communication」的側面(例えば、雑誌広告、テレビコマーシャル、SNS投稿等)が存在している。
この2つの側面はますます一体化しつつある。
その理由から、インスタグラムのようなSNSはEコマースやライブコマース(ライブストリームを通じた販売。中国が他を引き離している)の機能を拡張しており、レッドブルのような小売ブランド企業も独自のメディア制作会社を創設している。
しかし、なぜミスタービーストのようなインフルエンサーが、注目に値する事業を始めるようになったのだろうか。
まずは、ミスタービーストと彼の偉業を少しばかり紹介しよう。
本名はジミー・ドナルドソンで1998年生まれ
ユーチューブのチャンネル登録者数は4850万人(多くの企業チャンネルよりも多いでしょう)
2020年ユーチューブ収入第2位(広告収入2400万米ドル)
費用のかかる派手な行為と慈善活動(ただし食事ではない)で知られている
Virtual Dining Conceptsと協力してアメリカ全土にハンバーガーチェーン店300店を新規開店した
この事業の開始は、小売や商業の世界での重要な変化を明らかにしている。
「新たな」アプローチとは、
最初に客層を築き、それから事業を組み立てるというものだ。
SNSのおかげで個人がこの種のネットワークを大規模に構築できるようになった。
実際に開店する前でもすでに、自分のネットワークに属する数百万人もの人たちに関して、客層に対する洞察を得られているという状況を、想像してみよう。製品の種類や立地、価格設定についての感覚が非常によくわかることになるだろう。
すべての変数が同一なら、インフルエンサーは同じ事業を始めようとしている従来型の実業家に勝利できる。
インフルエンサーは、その事業家が誰で、何をしているかに関心を寄せる人々の巨大なネットワークに対する洞察をすでに手に入れており、またそのネットワークにすでにアクセスできているからだ。
有名人やアスリートも、これまで長くにわたって、そのようなコンセプトに基づいて商品にお墨付きを与えたり、自ら事業を始めたりしてきた。ただし、異なるのは、有名人やアスリートはテレビや雑誌といったチャンネルを通じてでなければファンとつながることができなかったのに対し、インフルエンサーの場合は、ファンが常に携え常に見ているデバイスを介して毎日多様なチャンネルでつながっている点だ。間に割って入る企業やレコード会社が存在しないのだ。
こうした理由から、ウィル・スミスなどの有名人がSNSのインフルエンサーになろうと取り組んでいる。ここ日本でも現在、同じ事態が起こりつつある。[英]
ミスタービーストのような人物が、事業を始めると宣言するだけで、何キロもの車列を生み出すことができてしまう。
言うに及ばず、彼のアプリは全米1位に急上昇して、多くの人やメディア出版物が彼の偉業を話題にしている。しかも、有料広告にいっさい費用を投入せずに、これを実現している。
従来型の実業家がハンバーガー店を開いても、こういったことは達成できない。
ミスタービーストのビジネスでさらに優れているのは、D2Cの直接販売となっている点だ。
ターンキー型ソリューションを提供することで、バーチャル飲食店の開設と宣伝を可能にする企業Virtual Dining Concepts [英] を通じて、ミスタービーストは産業用キッチンスペースのレンタルとなる、ゴーストキッチン(または “クラウドキッチン” と “ダークキッチン” - デリバリーやピックアップメニュー専用のシェア型厨房のことです)を使用している。このキッチンは、必要に応じてたやすく移転でき、実質的に小売りスペースがゼロで、フードデリバリーサービスを使用して数分で食事を配達でき、しかも顧客データの取得やクレジットカードの登録はアプリで行える。
影響力の大きさの点であらゆる規模のインフルエンサーが、小売や商業の分野へとますます進出し続けるだろう。
広告収入によって稼げるより多額のお金を稼げる可能性だけでなく、自分の目標を達成するチャンスも存在する。ミスタービーストの場合は、各売上の一部がアメリカでの食料支援慈善活動に回される。
以上のような理由から、現在の企業は時代に合ってるコミュニケーションに秀でている必要がある。
正直に言おう。ほとんどの企業には、消費者がそれ無しでは生きていけないと感じるような最先端の製品・サービスは存在しない。さらに、ほとんどの企業は、自社よりコミュニケーションに優れている競争相手に市場シェアを奪われることなく購入数量を維持するのに、必要な広告を流し続けるだけの十分な資金を持ち合わせていない。
こうしたことから、現代的なコミュニケーションのこの側面はとてつもなく大きい。マーケティングを通じて評判を確立していくということだ。
ここから学べる教訓が1つあるとすれば次のことだろう。
企業は単に広告主であるという次元を超えて、今やコミュニケーションとメディアの領域にいっそう深く入り込んでいる。次なる競争相手は、事業を始める前にすでにより巨大でより情熱的なファン層を擁している可能性があり、自らもそうならなければならない。
ハワイでウェディングパーティーをしたので、経験をシェアし、協力したベンダーを紹介します。